映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ 2004

「オトナ帝国」に次ぐ良作。だと、個人的には思うんだけど。キャラの良さとか特徴とか存分に生かされてて感動・恋愛・ギャグ、どれに偏ることなくバランスがいい。ただし、今回は野原一家の活躍は抑えられてます。

この映画の主眼のテーマは友情にあると思う。題名通りかすかべ防衛隊の活躍が中心にすすむ。そのシーンが絶妙で、うるっときてしまいます。忘れかけた絆を修復するために必要なのはそれを守るために他を捨てる勇気。

ただしつばきとしんのすけの恋愛シーンがいい、前半にその絡みを増やしてほしかったというレビューを散見するけれど、俺はむしろその絡みにくどさを感じる。最後のしんのすけが駄々をこねるところは往生際の悪さを感じてしまった。ねねちゃんの「こっちの世界のほうが楽しいって教えてくれたでしょう」ということばが救いになってますが。

隠されたテーマとして、アイデンティティの喪失というのがあるかも知れない。映画(西部劇)の中の世界は「この世界の自分が心地よくなる」「心地よく思うと、過去の自分を忘れてしまう。」という設定がそれをほのめかしている。危険を冒さなければ心地よい日常を送れる。そういう妥協によって過去の自分を見捨ててしまうことの危機が描かれていて、結構作りが細かいなぁと思います。伏線も多く複雑な映画です。