霜柱

鋭利で滑らかな何かが斜と心に切りかかった。

デリケートなことに関しては警戒心を下げてしまう。信じやすくなる一方で雑多な傷を負う。それはそれで強くなる過程で不可避で、必要で。でも二度と消せないような、いや、後からみたら笑えるような、ともすれば忘れてしまうような傷を負ったときの対処に困る。いつだってそう、対応が先んじてないばかりで対処が後手後手に回り自分で墓穴を掘ってるんだ。それなのに犠牲者のふりをして。ワイルドを装って勝手に傷ついてもかっこ良くない。そんなものはたがが外れれば脆く崩れる。霜柱を踏んだって少し快い音がしてそれ以外は誰も気にしない。やがて溶け出して表面上なにもなくなってしまう。でも心はドロドロだ。世界はそれでも止まらない。自分だけがいつまでも立ち止まって、

みんなどこかへ行ってしまうんだ。