夏季来了。
ふー。熱いですね。暑い。夏という季節は、やっぱり緑。田舎育ちで、都会に出たくて、今は都会にいる。祇園祭。風情がある。でも、落ち着くのはやっぱり、緑なんだ、と最近思う。そして夏の醍醐味は青々とした空。白い雲。夕立前に黙々と立ち上る煙のような積乱雲。静の時間。川べりの草の匂い。海から漂う潮風。すべて自分の心の片隅にあって共鳴する。騒ぎ出す。ここには、ない、素晴らしさ、いままで置いてきたものにもう一度会いたいと思う。
都会の便利さはやがて惰性を飼い太らせる。享受できる間はどんどん利用しよう。でもそれが自分の利益になってもその場しのぎで、結局欲しいものは苦労しないと手に入らない。でも身体や心には微かに残っている。ここには、水溜りの上に蚊柱ができることも、蛙の歌が聞こえる夜も蝉の声に起こされる朝もないけれど、故郷が帰ってこいと呼んでいるような気がして、時々そんな自然と触れて、不便さに手を焼いて、わずかに残ったものを充電しなきゃなーという衝動に駆られる。それが岡山と大分への普段口に出さない郷土愛なんだと思う。